【モバイルファーマシー】第55回日本薬剤師会学術大会に参加しました

2022年10月10日(祝)、仙台国際センターで第55回日本薬剤師会学術大会が開催されました。

当薬局は防災関係の知見を集めるために、本学会に参加しました。

東日本大震災の教訓を踏まえ、薬局薬剤師は防災にどのように関わっていくことが望ましいかの発表がありました。

北区赤羽も、近くに大きな河川があることから、水害に注意しなければなりません。災害医療分科会で得た知見をいくつか、簡単に共有したいと思います。

1.避難所のトイレの清掃は薬剤師に任せるべし

避難所で多くの方が利用する公衆トイレの清潔度は、避難されている方や、サポートスタッフの体調に直結します。

悪臭が漂い、コバエがたかっていると、トイレにいくことをためらってしまい、排便が遅れてしまいます。食欲不振や便秘にもつながり、体力が落ちてしまいます。

冬だと、感染性胃腸炎の流行に影響してしまうため、公衆トイレを清潔に保つことは避難生活上、かなり重要なポイントといえるでしょう。

医薬品の選別や供給、お薬のお渡し、相談だけではなく、公衆衛生を保つ活動も薬剤師がフォローすることができます。

東日本大震災においても、避難生活の公衆衛生を保つために、すぐに取り組んだ内容がトイレの清掃でもありました。

2.医薬品の供給は2週間で正常化する。しかし、、、

全国から医薬品が送られてくる中、地域の医薬品卸からの供給は2週間程度で正常化していました。そのため、徐々に現場で医薬品の過剰在庫を招いてしまいました。

そんな中、6日間、まったく医療物資が供給されない病院もありました。情報インフラが完全に分断されたため、「忘れられてしまった」病院だったのです。

平素より、災害時の情報連携を行い、連携が取れているかの確認も重要です。1か月に一度程度、北区でも医療機関情報連携の確認試験が行われています。

3.被災時はお薬手帳が有効

どんなお薬を、どのように服用しているのかを確認できるお薬手帳は避難所で大活躍しました。電源がなくても参照できることが大きな強みです。

マイナンバーカードから参照することも最近はできるようになっています。オフラインですぐにお薬をチェックできることが非常時においては重要なことなので、定期的な飲み薬がある場合はお薬手帳を作っておきましょう。

4.モバイルファーマシーはカッコいい

全国に12台配備されている災害対応医薬品供給車両「モバイルファーマシー」の零号機(日本初)が展示されていました。

宮城県薬剤師会が東日本大震災の知見を踏まえて、ライフライン喪失下の被災地でも、粉薬やシロップ剤、一包化といった各種医薬品の調剤ができる移動式薬局を作成しました。

埼玉県にあるキャンピングカー会社のVANTECH株式会社さん(https://www.vantech.jp/)と宮城県薬剤師会がモバイルファーマシーの登録商標を持っています。

 

 

 

 

 

キャンピングカーの中に薬局機能を盛り込んだ、一般向けに販売していない車、それが「モバイルファーマシー」です。

ルーフはもちろん、情報共有のためのディスプレイも装備しています。ディスプレイは取り外し式で、移動時には車内に格納されています。

 

 

 

 

 

中には調剤カセットも。引き出しも下にあり、移動中に出てこないように押しボタン式でロックされています。

 

 

 

 

 

粉薬を作る分包機は21包タイプ、印字なしです。意外にもMacbookに接続されていますね。宮城県薬剤師会の皆さんはMacbook派なのでしょうか?

 

 

 

 

 

小児の粉薬の設置台です。㎏単位でお薬の量を決めるため、災害時では電源と専用機材が不可欠です。

※電源がない場合でも、電池式電子天秤と薬包紙があればなんとかなります。

 

 

 

 

 

薬局の設備要件として、吸排気ができる設備が必要なので、換気扇も完備。

 

 

 

 

 

 

清潔に保つために、シャワールームとトイレも。自己完結、自立して支援ができるため、ベッドもあります。

 

 

 

 

 

上に見える段がベッドルーム。伸ばすと3人まで横になって寝ることができます。

 

 

 

 

 

水剤を調剤するためのスペース。生活用水と区別して専用のシンクとして独立しています。

 

 

 

 

 

入り口付近には、PCラックがあります。

 

 

 

 

 

モバイルファーマシーの後ろ姿。屋根にはソーラーパネルが付いています。

令和元年台風19号では、宮城県伊具郡丸森町にて、災害処方せんに基づいてお薬を供給した実績があります。

展示ブースの方に伺ったところ、災害処方せんの調剤がメインの車両のため、それ以外で単独で動くことは念頭に置いていないとのことでした。

つまり、病院や診療所といった医療機関の駐車場などで、そこの災害処方せんを応需するための車両です。キッチンカーのように、単独で市販薬を供給できる仕組みではないようです。

モバイルファーマシーはレアな車両のため、認知度が低いようですが、災害フェアなどでは、小さな男の子をメインに人気のようです。

モバイルファーマシーが目立つような取り組みを当薬局でも企画したいと思います(完全に趣味ですが、、、)。

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