欲望の痕 trace of desire
2013 年から水墨山水画の勉強を始め、今は自分なりに解釈した「空と破」という水墨の創作概念を現代美術に再構築している。作品では、主にものの「流動性」や「曖昧さ」について表現し、絵画、映像インスタレーション、パーフォマンスや音声など色々なメディアを用いて、山水哲学の新たな展開を考えている。
MIMIKO(東京藝術大学・美術研究科修士2年)
開催期間 | 2022年11月17日〜12月10日 |
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HP | https://mimikoan.com/ |
お問合せ先 | https://mimikoan.com/contact |
- 個展コンセプト
- 中国の宋代(960年 - 1279年)から文人たちは山水画を自由に筆致し、山や水の様子を描くことだけではなく、自分の気持ちや思想、世界観を表現した。それは「文人山水画(=文人画)」と呼ばれ、特徴的には筆技を重視し、「人生は修行だ」の思想も含めている水墨山水画だ。そして、明代(1368年 - 1644年)の画家・批評家である董其昌は、水墨画の職業画家を技法のみに拘泥するものと批判し、文人作家の内面性・精神性が表現されている絵画を文人画として高く評価した。その後、文人画が最も代表的な伝統的様式として成立した。
文人山水画で一番重要なのは、山や水の様子を描くことではなく、自分の気持ちや思想、世界観を表現することだ。私は文人山水画で得た「『空』と『破』」という方法論を応用して、現代美術として新しい作品を創作している。
文人山水画における「空」は、墨がのらない空白の意味で、作品で現したもの以外、つまり観客が自分の経験によって連想したもの、想像の余白を示す。それに対して「破」は、一つの描き方に固執せずに一つ前の描き方を壊すことの意味で、既存の関係性や枠組みを壊してものの新しい可能性を探すこと、矛盾、不合理、混沌を示す。この文脈を踏まえて、私は「世の中にあるものを再現するのではなく、自らものに対する考えや発想を作品でモノを創出する」という創作概念で活動をしている。
「人間は欲望があるから生きたい。生きたいというような気持ちがあるからこそ行動する。」作品「欲望の痕」を創作したきっかけは生命の本質への思考だ。人間を生きる本質は様々な思いの混ざり合いの間で起こる新たな変化と考え、写真、映像、自問自答などの手法で自分の痕を表現した。
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